１９６５年の秋は疑いも無く BRITISH POP MUSIC SCENE にとって豊作の月だったと言えるだろう。
　これから混沌としていく AMERICAN MUSIC SCENE は徐々に前兆を見せて行くが英国では BEATLES が
　HELP SOUND TRACK を発売し ROLLING STONES は金字塔となる SATISFACTION で見事に報復した。
　KINKS は SEE MY FRIEND で RAGA ROCK の到来を予感させ SMALL FACES は WHATCHA GONNA DO
　ABOUT IT で颯爽と DEBUTして見せ WHO は MY GENERATION で強烈な閃光を放った。
　また英国では ANIMALS,YARDBIRDS,HOLLIES そして SEARCHERS と HIT SONG は立て続けに出ていた。
　その間も AMERICA から BYRDS が Mr.TAMBOURINE MAN で TOP の座に駆けのぼり、負けじとBOB DYLAN
　が LIKE A ROLLING STONE, BEACH BOYS が CALIFORNIA GIRLS と優れた曲の SINGLE を RELEASE し、
　CHART を毎週書き換えさせて、この月の半ばはめぐるましい状況になってた。

　しかし１９６５年秋の最も論じるべき重大な英国の事件は ANDREW LOOG OLDHAM が自身のレコード会社
　IMMEDIATE RECORDS を設立させた事だろう。彼の LABEL は BRITISH POP 産業に革命を起こし、MAJOR
　LABEL を相手に戦いを挑み見事彼らを制圧している様でもあった。それはまるで THOMAS EDISON が革命を
　起こした時にも似てる。IMMEDIATE は DECCA や EMI を向こうに回し TOP CHART の座を争い音楽業界に
　新たな方法論を唱えてみせた。１９６０年代の MUSIC SCENE は英米共に SINGLE RECORD から各 LABEL
　そして各 ARTIST の意気込みを知る事が出来る。特にこの IMMEDIATE が設立された時代は SINGLE HIT の
　激戦期であり何処の国でも熱い情熱を持った若者達が素晴らしい PLAY を 7inch VINYL に残している。
　そして一握りの者達が CHART に HIT SONG を送りこみ資金力のある LABEL の所属 ARTIST のみが
　ALBUM を残している。また MAJOR LABEL ではあるが UNLUCKY な事に ALBUM すら RELEASE させる事の
　無かった GROUP が多いのは英国音楽業界のシステムによるものであった。それらを考えた場合に無名と
　有名との間に立ちふさがる壁はPRODUCTION の意向以外に何が存在したのだろうか？
　曲の良さはタイムリーかどうかによって反応は異なり運の悪い事に１枚の SINGLE のみで消え去る場合もある。
　特に新興 LABELとして MAJOR と戦っていく者達は世間の REACTION を伺う事より世間を引き付けるだけの
　魅力が何よりも必要となるのだ。米国の RECORD産業を見渡せば著名人の減税の為に設立された LABEL が
　無数に存在し、そこの所属 ARTIST の意気込みや熱意とは関係無くむしろ計上赤字すら望んで経営する会社
　すらあった。あの TIGER LILY ですら MORRIS LEVY が税金対策の為に設立したLABEL であるが今日騒がれて
　いる幾多の隠れた名盤を RELEASE していた。そしてそこから無数の宝石が発見されたのも事実だ。

　OLDHAM がやった事は英国の興行師が若者のカリスマとして成し得た事でどちらかと言えば以前から
　BRITISH POP を牛耳っていた高貴な印象のある SHOWBIZ の世界に一石を投じたものだった。
　依然として彼は ROLLING STONES のマネージャーとして若者は認知していたが彼こそが本当の BRITISH POP
　の征服者であり希代の BRITISH YOUTH CULTURE の創造主だったのだ。彼の気ままで傲慢、そして疲れを
　知らない宣伝活動は実に挑発的で巧妙な戦略だったと同時にそれは望み通りの効果があったのだ。
　彼の反体制的な精神とシャープなイメージ、そして青白いルックスと極端過ぎる程目立った服装は
　過去のマネージャーの常識を打ち破ったものだった。BEATLES のマネージャーの BRIAN EPSTEIN が決して
　BEATLES の表に立たなかった事とは正反対にむしろ OLDHAM は脚光を浴びる事を喜んだ。
　彼はきらびやかな出で立ちで幻想感を醸し出しもはや ROLLING STONES のマネージャーとしては充分な活動を
　していなかった。彼の創り出す独創的な光は彼自身のパブリックイメージとして機能し BRIGHTON ROCK STYLE
　や YOUTH CULTURE に敏感な若者達に新たな幻影を与えた。
　しかしこれはあくまでも流れを変えようとした野心家の SIDE STORY でしかない。

　ここや LIST PAGE で紹介される無数の SINGLE は LATE 60'S CULTURE MUSIC の当時の光景を知る貴重な
　記録の山だ。米英を中心とした構成で、足掛かりとなるべく若干の EARLY 60'S も掲載されている。
　米国から英国へ、そして COUNTER CULTURE は英国から米国へと伝承されて行き DINAMIC なEVOLUTION が
　された事実に気づくだろう。それは WEST COAST から始まった SUMMER OF LOVE の波動や YOUTH CULTURE
　の MOVEMENT が英国に押し寄せた結果で英国の野心的で独創的な CREATOR 達もそれに続いて行ったのだ。
　そしてそれこそが時空を飛び越えてなお世界中の若者達に支持される 60'S MUSIC の正体でもある。
　それはある意味で CULTURE MUSIC の CREATOR 達が限界に挑んだ想像の結晶だったのではないだろうか。
　それは娯楽としての音楽が文化として進化発展していく貴重な瞬間でもある。
　そしてその文化そのものは今も脈々と受け継がれている。